自主ルール
ホエールウォッチングの自主ルール
1. 目的
このルールは、根室海峡においてホエールウォッチングを行う際に、知床のみならず世界全体の貴重な自然資源である鯨類の、自然な行動を妨げないとともに、鯨類の生息環境を守ることを目的として、NPO法人しれとこラ・ウシと、ホエールウォッチング船の運航主体である株式会社知床アルランが、自主的に制定するものである。
NPO法人しれとこラ・ウシとホエールウォッチング船の運航主体である株式会社知床アルランは、羅臼町、羅臼海上保安署、環境省東北海道地区自然保護事務所と連携、連絡を密にし、鯨類の生息環境の保全に務めることを目的として制定する。
2. 自主ルールの名称と適用海域
協定する自主ルールは、根室海峡のホエールウォッチング対象となる全海域に適用し、「知床・羅臼ホエールウォッチング自主ルール」と呼ぶ。
3. 航路の遵守と安全の優先
- ホエールウォッチング船の運航に際しては、安全を第一義に考え、航路の逸脱、領海の侵犯はこれを行わない。ロシアの主張する「ロシア領海内」に鯨類が発見された場合は、中間ラインより観察するものとする。
- NPO法人 しれとこラ・ウシのスタッフが乗船する場合には、船長と協力し、船長の指示に従い、乗客の安全確保に配慮し、事故のない適切な観察を指示するものとする。
- 生態調査や取材に関しても、乗船する人員の安全を最優先し、いかなる場合にも船長の指示に従うものとする。
4. 自主ルールの適用する鯨類
「知床・羅臼ホエールウォッチング自主ルール」の対象となる鯨類は、ヒゲクジラ亜目及びマッコウクジラとする。
5. 自主ルールの内容
- 適用海域全体について、以下のルールを遵守する。
(1) 海中に鯨類の鳴音及び疑似音を発しない。
(2) 上記以外であっても、鯨類の行動を錯乱させるような人工音を発しない。ただし、船舶が発する通常の動力音はこの限りではない。
(3) 鯨類を追いかけ回すような行為は行わない。また、鯨類に突進し、進行の妨げにならないように注意する。 - 対象鯨より300m以内の水域を減速水域とし、以下のルールを遵守する。
(1) ホエールウォッチングボートは減速して接近する。
(2) 対象鯨の進行方向を押さえるような操船をしない。
(3) その他現在進行している行動を妨げるような操船をしない。 - ヒゲクジラ亜目の鯨類については100m以内、マッコウクジラについては50m以内を侵入禁止水域とし、以下のルールを遵守する。
(1) ホエールウォッチングボートは、この水域に入域しない。
(2) 対象鯨から接近した場合は、低速で離れるか停船状態とし、侵入禁止水域から脱するまで、この行動をとる。
6. 調査及び取材等に対する対応
調査・取材等で、上記に示す「知床・羅臼ホエールウォッチング自主ルール」によらず、対象野生生物に接近が想定される場合は、事前にNPO法人 しれとこラ・ウシ理事長宛に、調査計画書、取材企画書を提出し、NPO法人 しれとこラ・ウシ理事長の許可を受けなければならない。
なお、水中での撮影や観察活動は地元ベテランダイバーの先導する調査研究・撮影など、特例を除きこれを認めない。
7. その他
その他必要と思われる事項に関しては、羅臼町、羅臼海上保安署、国土交通省関連諸機関、環境省東北海道地区自然保護事務所と協議の上、NPO法人 しれとこラ・ウシと株式会社知床アルランにおいて、今後随時検討するものとする。
制定日: 2005年10月25日