1. 目的

このルールは、根室海峡の流氷到来時において、オジロワシ、オオワシなどの鳥類と、トド、アザラシなどの海獣の観察を行う際に、知床のみならず世界全体の貴重な自然資源である野生生物類の自然な観察を妨げないとともに、生物類の生息環境を守ることを目的として、NPO法人 しれとこラ・ウシとネイチャーウォッチング船の運航主体である株式会社知床アルランが、自主的に制定するものである。

上記の目的を達成するために、羅臼町、羅臼海上保安署、環境省東北海道地区自然保護事務所と連携、連絡を密にし、務めるものとする。

2. 自主ルールの名称と適用海域

協定する自主ルールは、流氷時における根室海峡のネイチャーウォッチング対象となる全海域に適用し、「知床・羅臼流氷時自主ルール」と呼ぶ。

3. 乗客の安全と鳥獣類の生息環境保全の優先

  1. ネイチャーウォッチング船の運航に際しては、安全を第一義に考え、流氷の危険水域での観察は行わない。
  2. 野生生物の観察時は、微速または停船とし、鳥獣類への威嚇行動は一切行わない。
  3. 流氷への乗客の上陸は、一切これを認めないものとする。
  4. NPO法人 しれとこラ・ウシのスタッフが乗船する場合には、船長と協力し、船長の指示に従い、乗客の安全確保に配慮し、事故のない適切な観察を指示するものとする。
  5. 生態調査や取材に関しても、乗船する人員の安全を最優先し、いかなる場合にも船長の指示に従うものとする。

4. 自主ルールの対象とする野生生物

「知床・羅臼流氷時自主ルール」の対象となる野生生物は、流氷期に見られるオジロワシ、オオワシなどの鳥類、トド、アザラシなどの海獣類とする。

5. 給餌ルール

流氷期のオジロワシ、オオワシなどに対する給餌活動については、以下のルールを遵守する。

  1. 給餌活動は、NPO法人 しれとこラ・ウシと株式会社知床アルランが、オジロワシ、オオワシの保護増殖の目的に限定し、スケソウダラ、カジカなど羅臼産の雑魚を与えることにより、フィッシャーバードとしての生態を乱さないことに努める。
  2. 上記の活動は、猛禽類が産業廃棄物の処理場を主体とするゴミ捨場を餌場とすることの防止策、さらには狩猟鳥獣を食することによる鉛害防止を前提とし、この前提条件が回避できる環境が達成された際には、給餌活動は見直すものとする。

6. 調査及び取材等に対する対応

調査・取材等で上記に示す「知床・羅臼流氷時自主ルール」によらず、対象野生生物に接近が想定される場合は、事前にNPO法人 しれとこラ・ウシ理事長宛に、調査計画書、取材企画書を提出し、NPO法人 しれとこラ・ウシ理事長の許可を受けなければならない。

なお、水中での撮影や観察活動は、地元ベテランダイバーの先導する調査研究・撮影など、特例を除き、これを認めない。

7. その他

その他必要と思われる事項に関しては、羅臼町、羅臼海上保安署、国土交通省関連諸機関、環境省東北海道地区自然保護事務所と協議の上、NPO法人 しれとこラ・ウシと株式会社知床アルランにおいて、今後随時検討するものとする。

制定日: 2005年10月25日